定額減税とは何だったのか
定額減税は、令和6年(2024年)に物価高対策として実施された一時的な税負担軽減措置です。納税者本人および扶養親族1人あたり、所得税3万円・住民税1万円の合計4万円が減税されました。
給与所得者の場合は、令和6年6月以降の源泉徴収税額から順次控除する「月次減税」と、年末調整で精算する「年調減税」の2段階で実施されました。
令和7年分以降は定額減税なし
定額減税は令和6年分限りの措置です。令和7年分(2025年分)以降の給与計算では、定額減税の処理は不要になります。
💡 令和7年1月以降の給与からは、通常どおりの源泉徴収税額表に基づいて所得税を徴収します。定額減税用の控除額の管理や、月次減税事務は必要ありません。
給与計算で注意すべきポイント
① 源泉徴収税額表の適用
令和7年以降は、定額減税による特別な処理がなくなります。毎月の給与から源泉徴収する所得税は、通常の「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」をそのまま適用します。令和6年6月〜12月に行っていた月次減税の控除処理は不要です。
② 年末調整の変更点
令和7年分の年末調整では、定額減税に関する以下の事務が不要になります。
- 「年調減税額」の計算
- 年末調整時の定額減税の精算処理
- 源泉徴収票への定額減税額の記載
③ 源泉徴収票の様式変更
令和6年分の源泉徴収票には「定額減税についての記載欄」が追加されていましたが、令和7年分以降は通常の様式に戻ります。給与ソフトのアップデートにより自動的に対応される場合が多いですが、手作業で作成している場合は様式の変更に注意してください。
④ 住民税の特別徴収
住民税についても、令和6年度分は定額減税の影響で、令和6年6月分の特別徴収が0円になり、7月〜翌5月の11か月で均等に徴収されるという特殊な処理がありました。令和7年度分からは通常の12か月均等徴収に戻ります。
⚠️ 令和7年6月に届く住民税の特別徴収税額通知書をよく確認してください。従業員ごとの月額が変わるため、給与ソフトへの反映漏れに注意が必要です。
定額減税で控除しきれなかった場合
令和6年分の定額減税で所得税・住民税から控除しきれなかった額がある場合は、「調整給付金」として市区町村から給付されています。これは令和7年以降の給与計算には影響しません。
ただし、令和6年分の確定申告をまだ行っていない方で、年末調整だけでは定額減税が完了していないケースもあります。該当する従業員への声かけも忘れずに行いましょう。
令和8年以降の税制で押さえておくべき動向
定額減税の終了後、以下の点にも注目しておきましょう。
- 基礎控除・給与所得控除の見直し:令和7年度税制改正で、基礎控除額の引上げ(48万円→58万円)や給与所得控除の最低保障額の引上げ(55万円→65万円)が実施される見通しです。令和8年分以降の年末調整に影響します。
- 扶養控除の見直し:高校生年代(16〜18歳)の扶養控除の縮小が検討されています。児童手当との関係で今後の動向に注意が必要です。
- 電子化の推進:年末調整の電子化や、マイナポータル連携による控除証明書の自動取得がさらに進む見込みです。
まとめ
定額減税は令和6年限りの措置でしたが、令和7年・令和8年の給与計算にも「元に戻す」作業が必要です。特に給与ソフトの設定変更、住民税の特別徴収額の更新、源泉徴収票の様式確認は確実に行いましょう。不明点がありましたらお気軽にご相談ください。